ドバッツで自転車を作ってもらおう!



ドバッツ製作所。名古屋の郊外にあるらしい。
職人さんの名前は、「斎場さん」
とりあえず行って、どういう自転車が欲しいか打ち明けてみよう。

2002年4月。名古屋は桜が満開の日。ドバッツ製作所へ行ってみました。

名古屋駅から地下鉄で栄へ。
そこから名鉄 瀬戸線に揺られること20分強。
着いた駅は、「旭前(あさひまえ)」ちっちゃい駅です。
おおっ!ホームにドバッツの広告看板!



今は、正式名「ドバッツ・ライノ・ハウス」と言うらしい。
後で聞いた話では、斎場=サイバ=サイのいる場所=サイの家 英語でライノハウス

この駅、帰る時には無人駅になっていました。(日中のみ有人?)



タクシーが2,3台止まっているだけの駅を出て、最初の信号を左折
この道は、大きいバス通り。

バス通りを歩くこと7-8分。



何の目印もありませんが、バス通りを右折し、住宅街へ。(信号も無い)



曲がってから数分。住宅街が終わり田んぼ。



小川を渡り、、、


やがて、田んぼの中に見えてくる三角屋根の家

じゃーん!ここが、ドバッツ・ライノ・ハウス!

初めて来た時は、かなり迷いました。。。


鉄工所のようなところを想像していたので、あれっ?
普通のオシャレな自転車屋さん。ホントに作っているの??

「あのー、自転車を作って頂きたいんですけどー」

出てきたのは、優しそうな、でも固そうな(?)「斎場さん」
とりあえず、彼を口説かなくては。。

それにしても、オシャレな自転車屋さんです。




どんな自転車が欲しいのか?今の自転車の何が不満なのか?
とりあえず、思っていることを一通り打ち明ける。

今の自転車(Access Max)の問題点

1:キャリア(荷台)が付かない。
2:強力なブレーキ(Vブレーキ)を付けると、フレームがしなる
3:高剛性が災いして、路面の衝撃を全部拾ってしまい、疲れる。。(これが一番問題)

こんな自転車が欲しい

1:MTBベースの旅用自転車(手持ちの部品を流用したいので基本はMTB)
2:タイヤは26インチ(手持ちのタイヤを流用するため&タイヤの選択肢を増やすため)
3:マルゾッキ社製のXC700という細身のサスペンションを使いたい(お気に入り)
4:ハンドルはドロップハンドル(旅するなら、やっぱりドロップハンドル)
5:輪行する際(電車に乗せる時)にチェーンが絡まないようにする突起が欲しい!




こんな話をしたと思う。
結果、「面白そうだねぇ〜」

作ってくれるのかな?

「ただ、いつになるか分からないよ」

だぁぁ〜。。。
告白した時に「お友達から。。」に匹敵するお言葉(?)。。。

ここは、「いつでも良いので、お願いします」
としか、答えられないよなぁ〜

いったい、いつ頃できるのか?(ほんとに作ってもらえるのか?)
そして、いくら位かかるのか??
一般に売られている競技用のMTBで15万円ぐらいから。
それなりに良い物だと30万。。50万というのもチラホラ。

一からの手作り。さぁ、いくら用意すれば良い??
とりあえず、この時から、月に1万円の「自転車貯金」スタート



半年経過。寒くなりました。
特に、何の連絡もなし。。。。
名古屋に行く用事があったので、帰りに寄ってみました。

「ごめん、まだ手をつけてない。。もうすぐ始めるから」と。
でも、今回は、もう少し、突っ込んだ話ができました。

26"のMTB用タイヤを使って、ロード用のギアを使うと、
ギアとフレームが干渉してしまうので、タイヤは幅が1.5"以下しか使えない事、
ロード用ブレーキレバーでは、MTB用ブレーキが使えない事。
(これは、個人的に持っていた、V-dopterという部品で解決)
そんな話をしました。


'03年になりました。
また、名古屋に行く機会があったので、寄ってみました。
「そろそろ始めるから」と、言うことで、詳細打ち合わせ。

やっとここまで来た!
店にあった自転車にまたがり、各部の採寸。フレームデザインの下書き
使用するパーツの検討。持ち込むパーツのリスト。。。


その時に、描いた最終図面がコレ。


ちなみに。。MAX君の図面もちゃんとあります。
アメリカで買うときに貰って来たんです。



初めて、ドバッツに来てから1年が過ぎた春の日

「今、作っている自転車ができたら、次にやるから。」
初めて具体的になったスケジュール!



夏が来ました。
時間があったので、行ってみました。どうなっているかなー?

お。おおおお。おおおおおお!
大体の溶接が終わっている!
滅多にお目にかかることは無い、
ましてや将来、自分の物になる自転車の溶接直後の姿!




まだ、小物類(ワイヤーを押える部品とか)は、付いてないけど、
すでに、自転車の形!思ったより小ぶり。いい感じ!



そして、これ!ドバッツの真骨頂!滑らかに磨き上げられた溶接跡!
フィレット・ブレイズと呼ばれるこの技法。




溶接した後に、ひたすら磨き溶接跡の無い滑らかな仕上げ。
実現するには、非常に手間のかかる技

ちなみに、Max君は、溶接時にゴッテリと盛り付けるTig溶接という技法。




この日は、塗装の色も決めました。
数多くある、カラーサンプルの中から「何色がいい?」って言われても、、

やはり、昔から憧れていた紺系がいいなぁ。
せっかくフィレットで仕上げてもらったきれいな曲線の接合部。
コレをきれいに見せられる色ってどんな色ですかねぇ?

で、出た結論が、ドバッツオリジナルカラーの「コスモブルー」

黒い塗料を下地として塗って、
その上に、たっぷりと青色パールパウダーを振り掛ける。
すると、曲線部分で青がキラキラしてキレイ!との事。


さぁーいよいよ後半戦!だんだん見えてきました!



涼しくなってきて、2度目の秋。
高校時代の友人の結婚式で名古屋に。

当然、ドバッツにも顔を出します。

「あ、いらっしゃい。ちょっと待ってね」
で、出てきたのが紙に巻かれたフレーム!


斎場さんが、紙を剥いてくれました。
でたー!紺色にキラキラ輝くフレーム!きれいだぁ〜この色、大正解!




ヘッドチューブ周り。キレイな曲線で溶接されています!




サドルの棒が入る部分の複雑な溶接もGood!
名前は、”Equip”(エキップ)。 旅の道具とか、相棒って意味がある英語です。


自転車のフレームの中で一番、美しさが出る部分(だと思う)BB周辺。


複雑な溶接面が、カーブを描き、光の反射がキレイです! ううう、、T_T ウレシイ。。


うーん。うれしい。うれしい。うひひひひ

この日は、使用するパーツの細かい打ち合わせをしました。
自宅にどんな在庫があるのか?何を用意してもらうのか?などなど
そして、はじき出された、支払い総額。。。!
思っていたよりも安いです。「自転車貯金+ちょっと」で払えそう。
(持ち込み部品が結構あったからね)

宅配便で、ホイール、タイヤをはじめ、うちにあった部品を送りました

2003年。年末。(最初に訪問してから20ヶ月)

「もうじき出来ます」のメールを頂きました!
「受け渡しは、どうしましょうか?」との事。
「取りに行きます!」

年が明けて、2004年1月
「いつ取りに来ますか?」のメールと共に送られてきた画像。



うひょーーーー!かっこいいーー!
初めて見る完成型。できた、できた、できた!!
こんな、CG合成までして頂いて、アリガトウ!



サドルを送り損ねたため、仮の物が付いてますがコレが出来上がり。
ロードバイクの様だけど、26インチなので小ぶり。
MTBに近いフレームデザインなので、足も付きやすそうだ。

そして、取りに行く日が決定!
愛車(自動車の方)で、取りに行くことにしました。
これだけ時間をかけて作って頂いた自転車。
新幹線でぴゅーっと取りに行くわけには行きません。
ガタピシR4で、ゆっくりゆっくり取りに行くことにしました。


納車の日

そんなに、何台も自転車があっても仕方が無いので、
実家の物置に眠っていたロードバイクを里子に出すことにしました。



古いロードをドバッツに置いて行くかわりに、新しいのを持って帰る

ドバッツの駐車場で受け渡しです。
緑の方とサヨナラし、紺の方がうちに来ます!

ちょっと店の前で試乗。
うーーーーーーん。キモチイイ〜〜〜〜!
町内を一周して来ました。日頃、乗り慣れないドロップハンドルですが、
特に違和感無く、乗れます。良い!イイ!わーーーい!

名古屋から、浜松へ行き友人と会い、その後、焼津で1泊。
翌日、焼津から清水を通って、一気につくばまで帰ってきました。

家に帰ってきて、、、

2台並べて置いてみました。



全然違う印象の2台。用途別に使い分けられてGoodです。

自転車屋に行った時に、金のクイックレバーが超特価になっていたので
思わず買ってしまいました。どうかな?ちょっとお下品かな?

同様に、クランクの5ピンとタイヤのバルブキャップも金に。
ボトルゲージは、500mlペットボトル専用の小さめの銀色です。


これからは、こいつと旅に出ます。
長い付き合いになります。よろしくお願いします。


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